カスハラとは?コロナ禍で増加するカスハラ!中小企業で有効な4つのカスハラ対策

近年注目されている職場における問題のひとつに「カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」と言います)」があります。

実際に、「カスハラへの対応方法が分からない」「カスハラを未然に防ぎたい」と悩んでいる人事労務担当者も増えているのではないでしょうか。

カスハラを放っておくと、業務は滞り組織全体のパフォーマンスは大きく低下します。それどころか、カスハラを受けた従業員が心身の不調を起こす可能性も否定できません。

そこで今回は、カスハラの概要や中小企業におけるカスハラ対策について解説していきます。


カスハラとは?最近の動向は

カスハラとは、「カスタマーハラスメント(customer harassment)」の略であり、顧客の立場を利用した企業担当者への過度な嫌がらせのことです。

例えば、以下の言動はカスハラに該当する可能性が高いと言えます。

  • 店舗に長時間居座って理不尽なクレームを言い続ける
  • 「SNSに拡散するぞ」と脅す
  • 店側に不備がないのに開封済みの商品を返品しようとする
  • 担当者に対して人格を否定するような暴言を吐く

中小企業は、予算や人員の問題でカスハラへの対応が特に遅れやすい傾向にあります。

カスハラに対応できないと、組織の生産性低下や従業員の不調につながる可能性がありますので、早めの対処が寛容です。

企業には安全配慮義務が課せられているため、従業員が安全で健康に働けるように職場環境を整備しなければなりません(労働契約法第5条)。

カスハラに対して企業としての適切な対応をとらない場合、安全配慮義務違反に該当する可能性もあります。

安全配慮義務とは?

労働契約法

(労働者の安全への配慮)
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

コロナ禍でカスハラは増加傾向にある

厚生労働省が公表した「令和2年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、カスハラは近年増加していることが分かります。

<過去3年間のハラスメント相談件数の傾向(ハラスメントの種類別)>

過去3年間のハラスメント相談件数の傾向(ハラスメントの種類別)

(出典:厚生労働省

顧客等からの著しい迷惑行為、いわゆるカスハラの相談があったと回答している企業の割合は、パワハラ、セクハラに続く19.5%です。

また、「過去3年間に相談件数が増加している」が「過去3年間に相談件数が減少している」を上回ったのは、全ハラスメントのうちカスハラのみとなっています。

インターネットの浸透や消費者意識の変化等、様々な要因を背景に、カスハラは元々増加傾向にありました。カスハラの増加に拍車をかけたのが、新型コロナウイルス感染症の流行だと考えられています。

コロナ禍でストレスや不安を抱える人が増え、それらの「はけ口」として企業に迷惑行為をする人がいると見込まれています。

カスハラ対策に関する国の取り組み

増加するカスハラから現場を守るために、厚生労働省では、2020年(令和2年)にカスハラへの企業向け対応マニュアルを作成する方針を決めました。

2021年(令和2年)1月にはカスハラ防止対策の推進に係る関係省庁連携会議が発足され、マニュアル作成は本格化しています。

「通常の苦情とカスハラをどのように線引きするか」等いくつかの課題はありつつも、2021年度(令和3年度)中には、カスハラの対応マニュアルをまとめる方針を明らかにしています。

但し、国がカスハラ対策に乗り出しているとはいえ、現状では統一的な対策はありません。また、今後、国としてのマニュアルが作成されたとしても、従業員に浸透させるには時間がかかります。

各企業においては、今のうちから自社における対応方法を確立させることが重要です。

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中小企業で有効な4つのカスハラ対策

各企業においてカスハラ対策を講ずる際には、自社における業務の性質や組織規模等に合わせて、最適な方法の検討・実施が必要です。

ここからは、中小企業でとるべき具体的な4つのカスハラ対策をご紹介していきます。

対策1. カスハラ対策マニュアルの整備

カスハラへの統一的な対応方法を決めて、マニュアルとして整備します。

他社の事例や業界団体のマニュアル等を参考にしながら、自社で起こり得るカスハラの種類や対応方法を、なるべく詳細に記載してください。

マニュアルは作成して終わりにせず、従業員に浸透させることもポイントです。

顧客対応する従業員が、カスハラになる行為とならない行為の線引きを理解していないと、かえって顧客の満足度を下げてしまうケースもあります。

マニュアルを社内に周知した上で、実践で活かせるように研修を開催することがお勧めです。

対策2. 相談窓口の設置

個人ではなく組織としてカスハラに対応するために、専用の相談窓口を設置する方法も効果的です。

従業員個人の負担が減るうえに、カスハラ発生時の報告経路が明確になるため、解決までがスムーズに進むようになります。

相談窓口を設置する際は、「女性従業員が相談しやすいように女性の担当者も配置する」等、全従業員が相談できるような体制整備が重要です。顧問弁護士等の専門家を相談窓口とすることも有効な手段のひとつです。

また、相談窓口を設置したら、設置した旨や相談したことで評価が不利にならない旨等を組織内に周知してください。

対策3. カスハラを補償してくれる保険の利用

最近は、カスハラによって企業が被った損害を補償してくれるプラン・保険特約も増加傾向です。中には、中小企業に特化したプランもあります。

例えば、損害保険ジャパンでは、2020年(令和2年)7月に中小企業向けの総合保険「ビジネスマスター・プラン」に、カスハラを補償する特約を設置しました。同特約では、カスハラに起因する弁護士への相談費用を補償してくれます。

また、クレーム対応を専門としたサービス「クレームコンシェルサービス」を無料で利用可能です。

他には、東京海上日動火災保険でも「弁護士費用等補償特約」を2019年(令和元年)7月に販売を開始し、カスハラ解決にかかった弁護士費用を補償してくれます。

対策4. 「顧客による迷惑行為を警察に通報する」内容のポスター掲示

未然に防ぐ方法として効果的なのが、カスハラを警告するポスターを顧客の見える所に掲示する方法です。

「顧客の迷惑行為は警察に通報する」という内容の文言が事前に目に入ることで、カスハラを行う方に対する一定の心理的抑制効果を得られます。

予算に余裕があれば、防犯カメラを設置する等ハード面の対策も効果的です。

未然に防ぐことで一定の効果を発揮するうえに、仮にカスハラが発生した場合に、第三者に提供するための証拠となります。

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まとめ

カスハラとは、「カスタマーハラスメント」の略であり、顧客としての立場を利用した、企業への過度な嫌がらせのことです。新型コロナウイルス感染症の流行も影響し、近年はカスハラが増加傾向にあります。

カスハラは、業務を停滞させ組織の生産性を下げるだけでなく、従業員の健康にも影響を及ぼす可能性があります。

厚生労働省を中心にカスハラへのマニュアル作成が進められてはいるものの、被害を食い止めるためには、各企業における早めの対策が重要です。

中小企業がとるべきカスハラ対策としては、「マニュアル整備」や「相談窓口の設置」「保険の利用」等いくつかあります。

ぜひ、自社に合った対策を検討・導入したうえで、従業員をカスハラから守る体制作りが急務です。

人事労務コンサル ALL HR

 

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サプラボ編集部

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