Q19:遅刻をした社員が残業した場合、割増賃金を支払う必要はありますか?
- 朝9時始業/17時終業の会社にて、遅刻をし9時半に出勤した社員が18時半まで残業をした。
A:実労働時間が法定労働時間(原則8時間)を超えなければ、支払う必要無し。
労働基準法第32条に定める労働時間は「実労働時間」を指しているため、
時間外労働について、労働基準法第36条に基づく協定及び労働基準法第37条に基づく割増賃金の支払を要するのは、その実労働時間を超えて労働させる場合に限られます。
したがって労働基準法上、その日の労働者の実労働時間が8時間を超えない限り、割増賃金の支払義務は発生しないことになります。
労働基準法第37条は、使用者が労働者に法定の労働時間(原則8時間)を超えて労働させた場合には、
「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」とされており、時間外労働において2割5分以上の率、休日労働においては3割5分以上の率と規定されています。
ここでいう労働時間とは、実際に労働した時間を指すため、始業9時、終業17時、休憩1時間と定められているときは、終業時刻の17時を超えて1時間残業しても実際の労働時間は8時間を超えないため、割増賃金を払う必要はありません。
同様に、始業午前8時、終業17時、休憩1時間と定められている事業所で、1時間遅刻した労働者が終業時間を1時間を超えて労働しても、実働時間は所定通りに労働したと同様の8時間であり、割増賃金を支払う必要はありません。