疑問解消!人事・労務のQ&A(20)

Q20:始業時間前に自主的に早出する社員の労働時間はどのような取扱いになりますか?
  • 朝8時始業にもかかわらず、ある特定の社員は毎朝7時から業務を始めている。
  • 特に上司からの指示があったわけではなく、いつも仕事が時間内に終わらないため自主的に早く来ているとのこと。
A:自主的な早出が継続している場合、黙示の指示があったものとみなされる。

社員が自主的に早出する状況が継続する場合には、会社の黙示の指示があったと評価され、始業時間よりも前の時間が労働時間とされる可能性があります。
そもそも、労働時間の判断は客観的になされるものです。
使用者が明確に時間外労働を命じておらず、労働者の自己判断で時間外労働がなされる場合であっても、使用者が異議を述べていない場合や業務量が所定時間内で処理しきれないほど多く、時間外労働が恒常的と認められる場合には、黙示の指示があったものとして「労働時間」として取り扱われることがあるため注意が必要です。

使用者としては、時間外労働申請については厳格に運用するとともに、労働時間とそれ以外の時間を明確に区分できるようにしつつ、必要に応じて物理的に始業時間前の業務がおこなえないような措置を検討することが望ましいとされます。
始業・終業時刻を繰り上げる「時差出勤制度」を採用する余地があるのであれば、就業規則を改定し、時差出勤を申し出た社員に対して時差出勤を認めるという対応も考えられるでしょう。

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