Q22:一部の従業員が理由もなく時間外労働を拒否しているが、これは認めるべきですか?
- 労働者代表とは36協定を結んでいる。
- 該当従業員と同じ部署の大半が、常習的に時間外労働をしている。
- 繁忙期におけるスポットの時間外労働をお願いしても、定時退社を貫いている。
A:36協定を締結しているからといって、時間外労働を命ずることのできる権利を取得できるわけではない。
就業規則や労働協約に「業務上必要があれば時間外労働をさせる」旨の定めがあれば、労働者は36協定の範囲内において使用者が命じる時間外労働命令を拒否することはできません。
時間外労働の業務命令があった場合に、労働者はそれに従わなければならないことになりますが、使用者は36協定を締結しているからといって、当然に労働者に時間外労働を命ずることのできる権利を取得するわけでありません。
36協定の締結及びその届出の本来の法的効果は、法定労働時間を超えて労働させてもそれが協定の範囲内であるならば、使用者は刑事上免責されるというのみ。つまり、労働者に時間外労働義務を課す、というものではないのです。
労働者が時間外労働義務を負うかどうかは、基本的には個々の労働契約や就業規則、労働協約の内容により判断されます。
したがって個々の契約や協約で、使用者が時間外労働を命じる権利を有する場合のみ、36協定の範囲内において、使用者の命令により時間外労働に服すべき労働者の義務が生じます。
この場合の労働者は、使用者の時間外労働命令を拒否することはできません。