労働基準法とは?労基法の主な内容+重要ポイントを解説!就業規則・法定三帳簿も要チェック!2024年4月法改正対応

 

労働基準法とは?労基法の主な内容+重要ポイントを解説!就業規則・法定三帳簿も要チェック!2024年4月法改正対応

私達が仕事をする上では、多くの法律が関係してきます。

その業界特有の法律もありますが、経営者を始め人事労務担当者がまず知っておかなければならないのは労働関係の法律です。特に労働基準法は最も身近で大切な法律と言えます。

今回は、労働基準法の主な内容と重要ポイントを整理していきます。※2024年(令和6年)4月1日法改正内容を踏まえて更新しています。

「知らなかった!」では済まされない労働基準法。ここでしっかりと整理していきましょう。


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1. 労働基準法とは?

労働基準法とは、労働条件の原則や決定についての最低基準を定めた法律で、正社員だけでなく、短時間労働者(パート、アルバイト等)、派遣労働者、外国人労働者等の雇用形態に関わらず適用されます。もちろん、日雇いで働いている労働者も対象です。

よく「労働法」というのを耳にする機会は多いかと思いますが、実は「労働法」という名称の法律はなく、労働法とは、労働問題に関連する法律全体の総称です。

労働法における代表的な法律として、労働者の賃金や就業時間、休日・休暇など基本的な労働条件の原則を定めた「労働基準法」、労働者の団結権や団体交渉権、団体行動権を定めた「労働組合法」、労働争議の際に労働委員による調整を定めた「労働関係調整法」を併せて「労働三法」と言います。

 

2. 労働基準法の主な内容

労働基準法は労働者に有利な法律になるため、個人的な権利を保護しています。

契約はお互いの合意により決めるのが基本ですが、この契約内容を完全に当事者の自由で決めても良いとすると、使用者に比べて立場の弱い労働者にとって不利な契約内容となる可能性があります。

そのような事態にならないように、労働基準法は、労働条件等の最低基準を設ける等、「労働者を保護する」立場を取っています。

主な内容としては、以下のものが挙げられます。

  • 労働条件の明示
  • 就業規則
  • 労働時間、休憩・休日
  • 年次有給休暇
  • 賃金
  • 労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(法定三帳簿)
  • 解雇、雇止め

2.1 労働条件の明示

労働条件の明示に関しては、使用者は労働者に対して、労働契約の締結の際に賃金、労働時間、その他労働条件を書面等で明示しなければならないとされています(労働基準法第15条第1項、労働基準法施⾏規則第5条)。

労働条件の明示の中でも、必ず明示しなければならないものと、定めをした場合に明示しなければならないものに分けられています。

<労働条件の明示>

必ず明示しなければならない事項 定めをした場合に明示しなければならない事項
①労働契約の期間に関する事項 ⑦ 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
②期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関する事項 ⑧臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与及び最低賃金額に関する事項
③就業場所、従事する業務に関する事項 ⑨労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
④始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項 ⑩安全及び衛生に関する事項
⑤賃金の決定方法、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項 ⑪職業訓練に関する事項
⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む) ⑫災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
⑬表彰及び制裁に関する事項
⑭休職に関する事項

「必ず明視しなければならない事項」の①~⑥(昇給に関する事項を除く)については、書面を交付して明示しなければなりません。なお、⑦~⑭の「定めをした場合に明示しなければならない事項」については、使用者(会社)がこれらに関する定めを設ける場合は、明示する必要があります。

また、従来労働条件の通知は書面による交付に限定されていましたが、2019年(平成31年)4月の法改正により、労働者が希望した場合に限り、FAX、メール(Yahoo!メール、Gmail等のWebメールサービス)、SNS(LINEやメッセンジャー等のSNSメッセージ機能)等での明示が可能になりました。

上記の労働条件の明示のほか、2024年(令和6年)4月1日の「労働基準法施行規則」「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の改正により、労働条件の明示ルールが追加されました。

対象 明示のタイミング 新しく追加される明示事項
すべての労働者 労働契約の締結時と有期労働契約の更新時 .就業場所・業務の変更の範囲
【改姓労働基準法施行規則第5条第1項第1号の3】
有期契約労働者 有期労働契約の締結時と更新時 2.更新上限の有無と内容
(有期労働契約の通算契約期間又は更新回数の上限)
+更新上限を新設・短縮しようとする場合、その理由をあらかじめ説明すること
【改正有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準第1条】
無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時 3.無期転換申込機会、無期転換後の労働条件
【改正労働基準法施行規則第5条第5項・第6項】
+無期転換後の労働条件を決定するに当たり、他の正社員等とのバランスを考慮した事項の説明に努めること
【改正有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準第5条】

(出典:厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」)

新たな労働条件の明示ルールについては、今回の省令・告示改正施行日である2024年(令和6年)4月1日以降に締結される労働契約に適用されます。

そのため、既に雇用されている労働者に対して改めて労働条件を明示する必要はありませんが、労働条件に関する労働者の理解を深めるため、再度の明示を行うことは望ましい取り組みとされています(出典元:厚生労働省「令和5年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A」)

今回の「就業場所・業務の変更の範囲の書面明示」については、すべての労働者が対象となり、無期契約労働者だけでなく、パート・アルバイトや契約社員、派遣労働者、定年後に再雇用された労働者などの有期契約労働者も含みます。

また、有期契約労働者については、契約の更新は新たな労働契約の締結となりますので、2024年(令和6年)4月1日以降の契約更新の際には、新たなルールに則った明示が必要となります。

改正によって追加される明示事項

「就業場所と業務の変更の範囲」 について、労働契約の締結時と、有期労働契約の更新時に、書面による明示が必要になります。

「就業場所と業務」とは、労働者が通常就業することが想定されている就業の場所と、労働者が通常従事することが想定されている業務のことを指します。

配置転換や在籍型出向が命じられた際の配置転換先や在籍型出向先の場所や業務は含まれますが、臨時的な他部門への応援業務や出張、研修等、就業の場所や従事すべき業務が一時的に変更される際の、一時的な変更先の場所や業務は含まれません。

「変更の範囲」とは、今後の見込みも含め、その労働契約の期間中における就業場所や従事する業務の変更の範囲のことを言います。

労働者が情報通信技術を利用して行う事業場外勤務、いわゆるテレワークを雇入れ直後から行うことが通常想定されている場合は、「雇入れ直後」の就業場所として、また、その労働契約期間中にテレワークを行うことが通常想定される場合は、「変更の範囲」として明示します。

具体的には、労働者の自宅やサテライトオフィスなど、テレワークが可能な場所を明示する必要があります。

募集時

募集時等に明示すべき労働条件の追加(改正職業安定法施行規則第4条の2第3項】

労働契約締結・更新時だけではなく、職業安定法上、労働者の募集を行うなどといった場合にも、求職者に対して労働条件の明示が必要となります。追加される事項は、改正労働基準法施行規則で追加となる、①就業場所の変更の範囲、②従事すべき業務の変更の範囲のほか、③有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)となります。

労働条件通知書の記載例

①就業場所・業務に限定がない場合

就業場所・業務に限定がない場合は、すべての就業場所・業務を含める必要があります。
「会社の定める○○」と記載するほか、変更の範囲を一覧表として添付することも考えられますが、予見可能性の向上やトラブル防止のため、できる限り就業場所・業務の変更の範囲を明確にするとともに、労使間でコミュニケーションをとり、認識を共有することが重要とされています。

(出典:厚生労働省

②就業場所・業務の一部に限定がある場合

就業場所や業務の変更範囲が一定の範囲に限定されている場合は、その範囲を明確にする必要があります。

(出典:厚生労働省

③完全に限定(就業場所や業務の変更が想定されない場合)

雇い入れ直後の就業場所・業務から変更がない場合は、その旨を変更の範囲で明確にします。

(出典:厚生労働省

2.2 就業規則

就業規則は、いわば会社のルールブックです。

しかし、会社独自のルールをすべて認めてしまうと法令に違反する就業規則となってしまう恐れがあるため、労働基準法で一定のルールが定められています。

詳細は、後半「重要ポイント①:就業規則」で解説します。

2.3 労働時間、休憩・休日

労働時間、休憩・休日に関しては、労働基準法で1日及び1週の労働時間の上限や与えなければならない休憩時間、休日が定められています。

労働時間は1日8時間、1週40時間を超えて労働させてはいけないと規定されています。

休憩については、6時間を超えて労働させた場合は少なくとも45分8時間を超えて労働させた場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければなりません。

休日についても、毎週少なくとも1日与えなければならないと定められています。

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2.4 年次有給休暇

年次有給休暇は継続勤務年数によって付与される日数が決められており、正社員だけでなく、短時間労働者(パート・アルバイト等)にも有給休暇を付与する必要があります。

また、2019年(平成31年)4月に施行された「働き方改革関連法」において、年5日の年次有給休暇の取得が義務化されています。

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2.5 賃金

賃金は、「賃金支払いの5原則」として労働基準法第24条で定められています。

賃金支払いの5原則は、以下の5つを指しています。

  • ①通貨払いの原則
    賃金は通貨で支払わなければならないという原則です。但し、通貨払いの原則の例外として、労働者の同意を得たうえで、労働者が指定する金融機関へ振り込む場合等が認められています。
  • ②直接払いの原則
    賃金を労働者本人に直接支払わなければならないという原則です。労働者の代理人や親権者等への支払いは不可とされています。
  • ③全額払いの原則
    賃金は、その全額を支払わなければならないという原則です。労働者の過半数で組織する労働組合等と労使協定を締結した場合は、賃金の一部控除が可能となります。
  • ④毎月1回以上払いの原則
    賃金は、少なくとも毎月1回以上支払わなければならないという原則です。所得税等法令に定めがあるものや労使協定で定めたもの以外は控除できません。なお、臨時に支払われる賃金、賞与等については、この原則は適用されません。
  • ⑤一定期日払いの原則
    賃金は毎月一定の期日を定めて、定期的に支払わなければならないという原則です。「毎月25日」のように、周期的に到来する支払期日を定める必要があります。但し、賞与等については、この原則は適用されません。
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2.6 労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(法定三帳簿)

法定三帳簿とは、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿のことを言います。

労働基準法では、労働者を雇い入れた場合には法定三帳簿を作成し、5年間(当分の間3年間)の保存義務があります。

2.7 解雇、雇止め

使用者の都合で解雇や雇止めをされると労働者の生活が困窮するため、解雇、雇止めに関してはかなり厳しいルールが定められています。

例えば、会社都合で解雇する場合は、最低でも30日前には労働者に予告しなければならない解雇予告制度のほか、業務上の病気やケガでの休業期間中または産前産後休業期間中、その後30日間は解雇することができない等の解雇制限に関する規定があります。

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3. 労働基準法の重要ポイント

労働基準法の主な内容のうち、特に重要ポイントとなる就業規則、法定三帳簿について、解説していきます。

3.1 重要ポイント①:就業規則

労働基準法において、常時10人以上の労働者(パート・アルバイトも含む)を使用する場合は、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出なければならないと定められており、変更においても同様です。

そして、就業規則を作成又は変更する際は、労働者の過半数で組織する労働組合、労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴く必要があり、この意見書と就業規則を一緒に提出しなければなりません。

ここで重要なポイントは、労働組合又は従業員代表の意見書には、賛成の意見までは求められていないということです。

そのため反対意見を書いた意見書であっても他の要件さえ満たせば、就業規則として認められます。

就業規則はいわば会社のルールブックですので、極端な話、経営者(創業者)の考えを記載していても問題はありません。しかし、当然ながら法令又は労働協約に違反することは許されないため、万が一法令又は労働協約に反していた場合は、労働基準監督署より変更を命じられることになります。

なお、就業規則には必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」と、定めをした場合には必ず記載しなければならない「相対的必要記載事項」があります。

これは就業規則を作成するうえでの重要なポイントです。

3.1-1 絶対的必要記載事項

絶対的必要記載事項には、以下の3項目があります。

  • 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
  • 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

始業及び終業の時刻は、「1日8時間1週40時間」とする表現は不適切であるため、具体的な時刻を定めなければなりません。

休憩時間には、長さ、付与する時間等を記載します。

休日は少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。「週1回とする」との表現でも可能ですが、「日曜日とする」等と記載し、曜日を特定することが望ましいです。

休暇には年次有給休暇や産前産後休暇等の法律で定められた休暇以外に、夏季休暇や年末年始休暇といった会社独自の休暇も含まれます。

就業時転換は交替期日・順序等を記載します。

賃金は、毎月や毎週等の定期的に支払う賃金を言います。

退職に関する事項では、解雇・定年・契約期間満了等、退職に関するすべての事項を記載する必要があります。最近では労使トラブルが急増しているため、解雇に関しては解雇の事由まで詳しく記載する必要があります。

3.1-2 相対的必要記載事項

相対的必要記載事項は、以下の8項目です。

  • 退職手当の定めをする場合は、対象となる労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払い方
  • 臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額に関する事項
  • 食費、作業用品その他の負担
  • 安全及び衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰及び制裁に関する事項
  • その事業場のすべての労働者に適用される事項(例:休職、配置転換、出向等)

3.1-3 就業規則の周知義務

就業規則は、作成・届出をすればそれで良いというわけではなく、従業員に周知する義務もあります。

主な周知方法は、以下のとおりです。

  • 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること
  • 書面で労働者に交付すること
  • 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること

3.2 重要ポイント②:法定三帳簿

法定三帳簿とは、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿のことを言います。

これらは会社が作成し、5年間(当分の間3年間)の保存義務があります。

法定三帳簿は、労働基準監督署の調査の際にチェックされますので、特に重要です。

3.2-1 労働者名簿

労働者名簿は事業場ごとかつ労働者ごとに作成しなければならないとされています。

また、以下の事項を記載し、変更があった場合は遅滞なく訂正しなければなりません。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 履歴
  • 性別
  • 住所
  • 従事する業務の内容(従事30人未満の労働者を使用する事業においては記入する必要はありません)
  • 雇い入れ年月日
  • 退職年月日と退職理由(解雇の場合はその理由も含む)
  • 死亡年月日と志望理由

但し、日々雇い入れられる者については労働者名簿を作成する必要はありません。

3.2-2 賃金台帳

事業場ごとに賃金台帳を作成し、賃金計算の元となる事項及び賃金の額等を賃金の支払いの都度、遅滞なく記入する必要があります。

しかし、この賃金台帳は労働者名簿とは違い、日々雇い入れられる者についても記入する必要があります。

賃金台帳には、以下の事項を記入しなければなりません。但し、労働基準法第41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」、つまり「管理監督者」の労働時間数、時間外労働時間数、休日労働時間数については記入する必要はありません。

  • 氏名
  • 性別
  • 賃金計算期間
  • 労働日数
  • 労働時間数
  • 時間外労働時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数
  • 基本給や各種手当ごとの金額
  • 社会保険料等を賃金から控除した場合はその額

3.2-3 出勤簿

出勤簿は、労働基準法においては必ず記載する事項の定めありません。

しかし、厚生労働省のガイドラインにより、以下の項目を記載する必要があると定められており、これらを記入し保存する必要があります。

  • 出勤日数及び労働日
  • 日別の労働時間、始業・終業時間及び休憩時間
  • 時間外、休日労働、深夜労働を行った日付、時刻、時間数

法定三帳簿の重要ポイントとしては、対象は誰なのか、何を記載すべきなのかをしっかりと把握することです。

 

4. まとめ

今回は、労働基準法の主な内容及び重要ポイントについてまとめました。

2019年(平成31年)4月に施行された働き方改革関連法により、労働基準法の重要さは年々高まっています。

また、労働基準法を正しく理解することは、労使間のトラブルを防止するだけではなく、従業員の離職率の低下にもつながります。

さらに、法律をきちんと遵守していることがアピールできれば、人材を採用する場合にも有利に働くことが考えられます。

特に今回の重要ポイントとして解説した就業規則と法定三帳簿は、労働基準法の基本部分です。まずはこれらをしっかりと理解することで、適正な労務管理につなげることができます。

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サプラボ編集部

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