労務

知らなかったはNG!【簡単解説】初めての労務管理(労働契約・就業規則・社会保険・年金編)

2019年10月15日

企業において、労働者が安心して安全に働くことができ、円滑な事業活動を継続的に行っていくためには、労働基準法を中心とする労働関係法令の内容を正しく理解し、遵守していくことが重要です。

労働関係法令というと難しく感じて苦手意識を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、労働関係法令は企業・労働者とは密接に関係してくる法律です。

今回は初心者にも分かりやすいように、労働関係法令のうち「労働契約・就業規則・社会保険・年金」に関する内容をまとめました(出典:厚生労働省)。

1.労働契約

労働契約とは、企業(事業主、使用者)と労働者との雇用関係を締結する契約を言います。企業(事業主、使用者)と労働者は、この労働契約を締結することによって雇用関係が始まります。

労働契約を結ぶに当たっては、企業(事業主、使用者)は労働者に対して、賃金、労働時間などの労働条件を必ず明示しなければなりません。

以下に記載する特に重要な次の6項目については、労働者に対してきちんと書面を交付しなければいけないことになっています(労働基準法第15条)。

  • 契約はいつまでか(労働契約の期間に関すること)
    ※期限の定めがある契約の更新についてのきまり(更新があるかどうか、更新する場合の判断のしかたなど)
  • 労働者がどこでどんな仕事をするのか(仕事をする場所、仕事の内容)
  • 仕事の時間や休みはどうなっているのか(仕事の始めと終わりの時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、交替制勤務のローテーション等)
  •  賃金はどのように支払われるのか(賃金の決定、計算と支払いの方法、締切と支払日の時期)
  • 労働者が辞めるときのきまり(退職に関すること(解雇の事由を含む))

※ 労働契約を締結するときに、期間を定める場合と、期間を定めない場合があります。期間の定めのある契約は、原則として3年を超えてはならないとされています(労働基準法第14条)。
※ パートタイム労働者を雇い入れたときは、上記に加え、昇給、退職手当及び賞与の有無並びにパートタイム労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口を文書の交付などにより当該労働者に明示しなければなりません(パートタイム労働法第6条第1項)。

これら以外の労働契約の内容についても、企業(事業主、使用者)と労働者はできる限り書面で確認する必要があると定められています(労働契約法4条第2 項)。

労働契約の禁止事項

労働基準法では、使用者が契約に盛り込んではならない条件も定めています。

  • 賃金、労働時間その他の労働条件について、国籍、信条又は社会的身分を理由として差別的取扱いをすること(労働基準法第3条)
  • 女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをすること(労働基準法第4条)
  • 労働者が労働契約に違反した場合に違約金を支払わせることやその額を、あらかじめ決めておくこと(労働基準法第16条)
  • 労働することを条件として労働者にお金を前貸しし、毎月の給料から一方的に天引きする形で返済させること(労働基準法第17条)
  • 労働者に強制的に会社にお金を積み立てさせること(労働基準法第18条)

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2.就業規則

就業規則とは、職場において守られるべき規律や共通の労働条件を定めたものを言います。

職場でのルールを定め、それを守ることで労働者が安心して働き、無用のトラブルを防ぐことができるので、就業規則の役割は重要です。就業規則について、企業(事業主、使用者)が気をつけるべき事項には、以下のようなものがあります。

  • 常時10人以上の労働者を使用する事業場は必ず就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません(労働基準法第89条)。
    ※「労働者」にはパートタイム労働者やアルバイト等も含まれます。
  • 就業規則に必ず記載しなければいけない事項(労働基準法第 89 条)
    ・始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替勤務制の場合の就業時転換(交替制)に関する事項
    ・賃金に関する事項
    ・退職に関する事項
  • 就業規則の作成・変更をする際には必ず労働者代表の意見を聴かなければなりません(労働基準法第90条)。
    ※「労働者代表」とは、①事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、②そのような労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者とされています。
  • 就業規則の内容は法令や労働協約に反してはなりません(労働基準法第92条、労働契約法第13条)。
  • 就業規則は、作業場の見やすい場所に常時掲示するか備え付ける、労働者に配布するなどの方法により周知しなければなりません(労働基準法第 106条)。

 

3.各種保険と年金制度

各種保険と年金制度は、労働者が安心して働くことができるよう、労働者が病気やケガをしたときなど様々な場面で必要な給付を受けられるようにして、労働者の生活を守ることを目的とした制度です。

これらは、法律に基づき、企業(事業主、使用者)に保険料等の費用の負担が義務付けられており、これによって必要な給付等が行われます。

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3.1 労災保険

労災保険は、労働者の業務が原因のケガ、病気、障害、死亡(業務災害)、または通勤の途中の事故などの場合(通勤災害)に、国が会社に代わって給付を行う制度です。

パートタイム労働者やアルバイトを含むすべての労働者が適用対象となります。

基本的に労働者を1人でも雇用する会社は加入が義務付けられており、雇用保険と同様に、保険関係が成立した日から10日以内に所轄の労働基準監督署に「保険関係成立届」を提出するとともに、保険関係の成立の日から50日以内に「概算保険料申告書」を提出し、概算保険料を納付する必要があります。

労働基準法には、労働者が業務上負傷したり、病気になったりした場合等には企業(事業主、使用者)が責任を負わなければならないと定められており(災害補償責任)、この責任は労働者の負傷等について使用者に過失がなくても災害を補償する責任を負うという無過失責任です。

しかし、使用者が必ずしもこの義務を果たすことができるとは限らないため、この補償の義務を保険化して労働災害に遭った労働者に様々な給付を行い保護するものとして存在するのが労災保険です。

また、労働者が仕事を休業しなければならないほどの労働災害に遭った場合には、労働者による労災請求とは別に、会社が労災事故について労働基準監督署に届け出る必要があり、届け出ない場合、「労災かくし」として法律違反となります。

 

3.2 雇用保険

雇用保険は、労働者が失業した場合に、生活の安定と就職の促進のための給付を行う制度です。

勤め先の事業所規模にかかわらず、①1週間の所定労働時間が20時間以上で、②31日以上の雇用見込みがある人は適用対象となります。

 

3.3 健康保険

健康保険は労働者やその家族が、病気やケガをしたときや出産をしたとき、亡くなったときなどに、必要な医療給付や手当金の支給をすることで生活を安定させることを目的とした制度です。

法人の事業所または一定の業種で常時5人以上を雇用する個人事業所では強制適用となっており、適用事業所で働く労働者は被保険者となります。

適用事業主は、事実が成立した日から5日以内に、所定の「新規適用届」や「被保険者資格取得届」等を所轄の年金事務所又は健康保険組合に提出しなければなりません。

健康保険について詳しくは、ご加入の医療保険者(全国健康保険協会又は健康保険組合)、年金事務所にお問い合わせください。

 

3.4 厚生年金保険

厚生年金保険は、労働者が高齢となって働けなくなったり、何らかの病気やケガによって身体に障害が残ってしまったり、大黒柱を亡くしてその遺族が困窮してしまうといった事態に際し、保険給付を行い、労働者とその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とした制度です。

厚生年金保険の適用事業所は、健康保険と同様、法人の事業所または一定の業種で常時5人以上を雇用する個人事業所では強制適用となっており、適用事業所で働く労働者は被保険者となります。

適用事業主は、事実が発生した日から5日以内に、所定の「新規適用届」や「被保険者資格取得届」等を所轄の年金事務所に提出しなければなりません。

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4.まとめ

人事労務業務の中でも、「労働契約・就業規則・社会保険・年金」などの「雇用」に関する規定はとても重要です。

まずは労働関係法令の基本的な部分はしっかり押さえて、管理部門の体制を整えていきましょう。

 

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