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採用担当者必見!公正な採用選考・就職差別につながる14項目とは?

日本国憲法で定められている「職業選択の自由」は、国民がどんな職業でも自由に選べるということですが、不合理な理由で就職の機会が制限されている状況だと、その精神を実現することはできないという観点から、厚生労働省において「公正な採用選考に関する基準」が設けられています。

採用担当者でないとなかなか耳にする機会がない内容ですので、今回は「公正な採用選考」について取り上げていきます。

1.公正な採用選考の基本的な考え方

公正採用選考は、次の2点を基本的な考え方として実施することが大切と言われています。

  • 「人を人として見る」人間尊重の精神、すなわち、応募者の基本的人権を尊重すること
  • 応募者の適正・能力のみを基準として行うこと

日本国憲法

日本国憲法 第14条
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

日本国憲法 第22条
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

 

1.1 応募者の基本的人権の尊重

日本国憲法(第22条)は、基本的人権のひとつとして全ての人に「職業選択の自由」を保証しています。

一方で、会社(雇用主)にも、採用方針・採用基準・採否の決定など、「採用の自由」が認められています。

しかし、「採用の自由」は、応募者の基本的人権を冒してまで認められているわけではありません。

公正な採用選考を行うにあたっては、何よりも「人と人としてみる」人間尊重の精神、すなわち、応募者の基本的人権を尊重することが重要とされています。

 

1.2 適性・能力による採用選考

「職業選択の自由」、すなわち「就職の機会均等」とは、誰でも事由に自分の適性・能力に応じて職業を選べるということですが、これを実現するためには、雇用する側が、応募者に広く門戸を開いた上で、適性・能力のみを基準とした「公正な採用選考」を行うことが求められています。

また、日本国憲法 第14条は、基本的人権のひとつとして全ての人に「法の下の平等」を保障していますが、採用選考においても、この理念に則り、人種・信条・性別・社会的身分・門地などの事項によるさべつがあってはならず、適性・能力のみを基準として行われることが求められています。

 

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2.公正な採用選考の基本

「公正な採用選考を行う基本」は、次の2点にあります。

  • ①応募者に広く門戸を開くこと
  • ②本人のもつ適性・能力以外のことを採用基準にしないこと

 

2.1 応募者に広く門戸を開く

「公正な採用選考」を行うには、まず、「応募者に広く門戸を開くこと」が求められます。

ごく限られた人にしか門戸が開かれていないようだと、「就職の機会均等」を実現することができませんので、求人条件に合致する全ての人が応募できるようにすることが大切です。

 

2.2 適性・能力のみを採用基準とする

「公正な採用基準」を行うには、「応募者が、求人職種の職務遂行上日露な適性・能力を持っているかどうか」という基準で採用選考を行うことが必要です。

例えば、本籍地や家族の職業など「本人の責任のない事項」や宗教や支持政党などの「本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)は、本人が職務を遂行できるかどうかには関係のないこと・適性と能力にはかんけいのないことであり、これら採用基準にしないことが重要です。

 

2.3 適性・能力に関係のない事項の把握

適性・能力に関係のない事項は、それを採用基準としないつもりでも、応募用紙に記載させたり、面接時に尋ねたりすれば、その内容は結果としてどうしても採否決定に影響を与えることになり、就職差別につながるおそれがあります。

応募者にとってみれば、採用側が採用基準としないつもりの事項であっても、訪ねられればそれが採用選考の基準にされていると解釈してしまいます。

また、それらの事項を尋ねられたくない応募者にとってみれば、尋ねられることによって精神的な圧迫や苦痛を受けたり、その心理的打撃が影響して面接において実力を発揮できなかったりする場合があり、結果としてその人を排除することになり兼ねません。

なお、求職者の個人情報を保護する観点から、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などについては、原則として収集が認められません。

 

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3.就職差別につながる14項目とは

就職差別につながるおそれがある具体的事項として14項目が、厚生労働省より示されています(これらに限られるわけではありません)。

次の①~⑪の事項を、エントリーシート・応募用紙に記載させる、面接時において尋ねる、作文の題材とするなどによって把握することや、⑫~⑭を実施させることは、就職差別につながるおそれがあるとされています。

 

本人に責任のない事項の把握

①「本籍・出生地」に関すること
②「家族」に関すること(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)
③「住宅状況」に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
④「生活環境・家庭環境などに関すること

 

本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)の把握

⑤「宗教」に関すること
⑥「支持政党」に関すること
⑦「人生観・生活信条など」に関すること
⑧「尊敬する人物」に関すること
⑨「思想」に関すること
⑩「労働組合(加入状況や活動歴など)」「学生運動などの社会運動」に関すること
⑪「購読新聞・雑誌・愛読者など」に関すること

 

採用選考の方法

⑫「身元調査など」の実施
⑬「全国高等学校統一応募用紙・JIS規格の履歴書(様式例)に基づかない事項を含んだ応募書類(社用紙)の使用
⑭「合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断」の実施

 

(注1)「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることは、①の事項の把握に概要することになります。
(注2)「現住所の略図等」を提出させることは、③④などの事項を把握したり、⑫の「身元調査」につながる可能性があります。
(注3)⑭は、採用選考時において合理的・客観的に必要性が認められない「健康診断書」を提出させることを意味します。

 

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4.求職者等の個人情報の取り扱い

職業安定法では、労働者の募集業務等の目的の達成に必要な範囲内で、募集に応じて労働者になろうとする者等の個人情報を収集、保管、使用しなければならない旨規定しています。

また、併せて、法に基づく指針が公表され、原則として収集してはならない個人情報等を規定しています。

次の個人情報の収集は、原則として認められていません。また、個人情報の収集は、本人から直接又は本人の同意の下で収集することが原則とされています。

  • 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出身地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
    家族の職業、収入、本人の資産等の情報
    容姿、スリーサイズ等差別的評価につながる情報
  • 思想及び信条
    人生観、生活信条、支持政党、購読新聞、雑誌、愛読書
  • 労働組合への加入状況
    労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報

違反行為をした場合は、職業安定法に基づく行政指導や業務改善命令等の対象となる場合があります。また、改善命令に違反した場合は、罰則(6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科せられる場合もあります。

 

<2017年(平成29年)にハローワークが把握した就職差別につながるおそれがある事象>

出典:厚生労働省

 

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5.まとめ

日本国憲法に定められている「職業選択の自由」の精神を実現するためには、不合理な理由で就職の機会が制限されないということ、すなわち「就職の機会均等」が成立しなければなりませんが、それを実現するためには、雇用する側が応募者に広く門戸を開いた上で、差別のない合理的な基準による採用選考を行っていただくことが不可欠になってきます。

差別のない合理的な基準による採用選考とは、人種・信条・性別・社会的身分又は門地などではなく、本人の適性と能力のみを基準として採用選考を行うことにほかなりません。

会社(雇用主)においては、応募者に広く門戸を開いた上で、本人の適性と能力のみを基準とした『公正な採用選考』を行うことが求められているということが言えます。

 

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