ハラスメント

職場のパワハラ6類型と企業が行うべきパワハラ対策4つのポイント

2019年8月23日

職場でのパワーハラスメント(パワハラ)を防止するため、企業に防止策を義務づける改正労働施策総合推進法が2019年5月29日に成立し、企業に対してハラスメント対策の強化が義務付けられました。義務化の時期は早ければ大企業が2020年4月、中小企業が2022年4月の見通しとされています。

これまで、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などで定められていたセクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントの対策強化に加え、年々相談件数が増加しているパワーハラスメントへの対策も義務化されることから、パワーハラスメント(パワハラ)の6類型とパワハラ対策4つのポイントについて、解説していきたいと思います。

 

1.パワーハラスメント(パワハラ)発生頻度

「平成28年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」によると、過去3年間にパワーハラスメントを受けたと感じた経験があると回答した従業員は、およそ3人に1人の割合で発生しています。

出典:パワハラ対策相応情報サイト「あかるい職場応援団

また、過去3年間に、見たと感じたり相談されたパワーハラスメント行為(複数回答)*のうち最も多かったのは、精神的な攻撃が56.6%、過大な要求24.8%、人間関係からの切り離し24.4%、この侵害18.2%、過小な要求17.9%、身体的な攻撃7.4%、その他4.4%となっています。

*過去3年間にパワーハラスメントを見たり、相談を受けた経験について、「何度も繰り返し経験した」「時々経験した」「一度だけ経験した」と回答した者(N=3014人)

 

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2.パワーハラスメント(パワハラ)の定義

パワハラ対策相応情報サイト「あかるい職場応援団」(厚生労働省委託事業)によると、職場のパワーハラスメント(パワハラ)とは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為を言います。

 

2-1. 職場内での優位性とは?

「職場内での優位性」と聞くと、上司から部下に対するパワーハラスメント・いじめ・嫌がらせをイメージする場合が多いようですが、先輩・後輩間、同僚間、あるいは部下から上司に対して行われるものも含まれます。

「職場内での優位性」には、「職務上の地位」に限定されず、人間関係や専門知識・経験など様々な優位性が含まれます。

最近は、「職務上の地位」を逆手にとって、部下から上司に対するパワーハラスメント(パワハラ)も横行しており、上司がメンタルヘルス疾患※に罹患してしまう事例も多いため、「職場内での優位性」とは何を指すのかをしっかり理解しておく必要があります。

 

2-2. 業務の適正な範囲とは?

会社組織においては、組織運営上、階層別組織として日々の業務を運営している会社が大勢です。その業務の遂行において、業務上、必要な指示や指導・注意が発生しますが、それを不服・不満に感じたりする従業員もいます。

しかし、業務上の適正な範囲で行われている指示や指導・注意は、パワーハラスメント(パワハラ)には該当しません。

上司は、自らの役職・職能に応じて権限を発揮し、業務上の指揮命令や監督・教育指導を行い、上司(あるいは管理職)としての役割を遂行することが求められています。このような上司(管理職)の指導・教育が、業務上の適正な範囲を逸脱しているものかどうかを、各職場で、業務の適正な範囲は何か、逸脱するとはどういうものかなど、適正範囲かどうかを明確にする取り組みを行っていく必要があります。

職場において、具体的なパワーハラスメント(パワハラ)事案が発生した場合に、それがパワーハラスメントであったかどうか判断をするには、行為が行われた状況等の詳細な事実関係を把握し、各職場での共通認識や裁判例を参考にしながら判断していく必要があります。

 

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3.職場のパワハラ6類型

一般的にパワハラと定義されている6類型の行為について確認していきましょう。きちんと対応していくには、きちんとしたパワハラの基礎知識を身につけることが重要です。

ただし、以下の6類型はパワハラに該当するすべての行為を把握したものではなく、これら以外は問題ないというものではないため、注意してください。

また、「どんな行為が業務の適正な範囲を超えているか」に関しては、業種や企業文化の影響を受けるため、各企業・職場で認識を揃え、その範囲を明確にしていくことが大事です。

 

3-1. 身体的な攻撃

叩く、殴る、蹴るなどの暴行を受ける。書類を投げつけられる、など。

出典:パワハラ対策相応情報サイト「あかるい職場応援団

3-2. 精神的な攻撃

同僚の目の前で叱責される。他の社員を宛先に含めてメールで罵倒される。必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱る、など。

3-3. 人間関係からの切り離し

ひとりだけ別室に席を移される。強制的に自宅待機を命じられる。送別会に出席させない、など。

 

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3-4. 過大な要求

新人で仕事のやり方も分からないのに、教えてもらえない。他の人の仕事まで押し付けられるが、同僚は先に帰ってしまう、など。

3-5. 過小な要求

運転手なのにひとりで営業所の草むしりだけを命じられる。営業職なのにシュレッダー業務だけを命じられる、など。

3-6. 個の侵害

交際相手について執拗に問われる。配偶者の悪口を言われる、など。

 

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4.企業が行うべきパワハラ対策4つのポイント

それでは、企業が行うべき4つのパワハラ対策を確認していきます。

パワハラが発生したときの対応のほか、パワハラを発生させないための仕組みづくりを行っていくことが、企業に求められています。

 

4-1. 具体的事実を記録してもらう

パワハラが行われた場合でも、本人の主張だけでは事実確認ができませんので、事実確認のために有効なメモや録音などで記録してもらうようにします。

パワハラを受けたと感じた具体的な日時、場所、周囲に誰がいたか、どんな経緯でどんな内容のものだったのか、詳細を記録してもらうことが重要です。いつ、どこで、誰が、何を、どのように(5W1H)したのかまで記録するようにしてください。

 

4-2. 社内に相談窓口を設置する

社内に相談窓口、内部通報窓口を設置しましょう。相談窓口は、人事部・総務部・法務部が担当することが多いかと思います。上司に相談できない事案の場合に、相談できる窓口を設置することで、パワハラの実態把握がしやすくなります。

なお、社内の相談窓口は、相談者してきた従業員が不利益を被らないよう、プライバシーの確保に配慮する必要があります。

 

4-3. 社外に相談窓口を設置する

パワハラの事案によって、または相談者の立場によっては、社内相談窓口では解決できないこともありますので、外部の相談窓口を設置しておくことをお勧めします。

全国の労働局・労働基準監督署にある総合労働相談コーナー(無料)の他、顧問弁護士に直接相談ができるような体制を整えておくと、パワハラが重症化する前に解決対応を行うことができるようになります。

 

4-4. ハラスメント勉強会を開催する

パワハラを含めたハラスメント(セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント、パタニティハラスメント、モラルハラスメントなど)の社内勉強会を実施して、従業員全員のパワハラに対する認識・理解を深めることが、パワハラの予防になります。

職場で起きているパワハラについて、周囲の従業員が気づくことができれば早期発見・早期対応につながりますし、職場環境の秩序維持にもつながります。

ひとりひとりが、きちんとパワハラを理解することで、職場のパワハラ減少にもつながっていきます。

 

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5.まとめ

改正労働施策総合推進法に伴う職場でのパワハラ防止義務に向けて、中小企業が2022年4月の見通しとされていますが、対策が完全に機能するには数年かかりますので、今から対策をしていくことをおすすめします。

法律で義務付けられたからという理由だけでなく、パワハラが横行する職場は、従業員のエンゲージメントが低下し定着率の低下、離職率の増加につながってしまいます。

従業員が前向きに楽しく意欲的に働く職場環境を作ることが、企業の発展につながっていきます。

 

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