働き方改革 労務

【法改正対応】過半数代表者(従業員代表)の3要件と正しい選出手続きとは?

2019年12月2日

「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)」を締結する際に、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し、労働者側の締結当事者とする必要があります。

今回は、労働基準法施行規則の改正点なども踏まえて、「過半数代表者になることができる労働者の要件と正しい選出手続き」などについて、簡単に解説していきます。

1.改正労働基準法施行規則

労働基準法の定めにより、「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定(サブロク協定)」を締結するなどを行う際は、労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合には「労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)」と、書面による協定が必要とされています。

2019年4月1日に施行された「労働基準法施行規則」において、「過半数代表者」の要件等が明確化されましたので、法改正の経緯、法改正前、法改正後の変化について簡単に解説していきます。

労働基準法施行規則改正の経緯

2019年(平成31年)4月1日、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令」に関連して「労働基準法施行規則」が改正されたことに伴い、「過半数代表者」に関する規定が改正されました。

「過半数代表者」の要件については、これまで通達等で示されており、「使用者が指名した者を過半数代表者とすること」は不可とされてきましたが、実際は守られていないケースが多いとして、厚生労働省の労働施策審議会労働条件分科会で議論がなされてきました。それを踏まえ、今回、「過半数代表者」の要件について、明確化が図られることとなりました。

法改正前

  • 労働者の過半数を代表する者は、次のいずれにも該当する者とする。
    ①監督または管理の地位にある者でないこと
    ②法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること

法改正後

  • 労働者の過半数を代表する者は、次のいずれにも該当する者とする。
    ①監督または管理の地位にある者でないこと
    ②法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出されたものであって、使用者の意向に基づき選出された者でないこと
    ③使用者は、過半数代表者が法に規定する協定等に関する事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならない。

 

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2.従業員の過半数代表者の要件等

従業員の過半数代表者の要件については、過半数組合(労働組合)があるかないかによって、異なります。

 

2.1 過半数組合(労働組合)がある場合

過半数組合がある場合、事業場に使用されているすべての労働者の過半数で組織する組合であることが要件となります。

※正社員だけでなく、パートやアルバイトなどを含めた事業場のすべての労働者の過半数で組織する労働組合でなければなりません。

 

2.2 過半数組合(労働組合)がない場合

過半数組合がない場合の従業員代表選出の手続きは、次の「3.過半数代表者の要件と選出のための正しい手続」をご参照ください。

 

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3.過半数代表者(従業員代表)の要件と選出のための正しい手続き

36協定(サブロク協定)の締結にあたり、労働者側の当事者となる過半数代表者については、過半数代表者本人に聞くなどにより、次の3事項を必ず確認する必要があります。

 

3.1 労働者の過半数を代表していること

正社員だけでなく、パートやアルバイトなど事業場のすべての労働者の過半数を代表している必要があります。

 

3.2 36協定を締結するための過半数代表者を選出することを明らかにした上で、投票、挙手などにより選出すること

  1. 過半数代表者(従業員代表)の選出にあたっては、正社員だけでなく、有期雇用労働者や短時間労働者(パートやアルバイト等)を含めたすべての労働者が手続きに参加できるようにする必要があります。
  2. 過半数代表者(従業員代表)の選出手続きは、労働者の過半数がその人の選出を支持していることが明確になる民主的な手続(投票、挙手、労働者による話し合い、持ち回り決議)がとられている必要があります。
  3. 会社(使用者)が指名した場合や社員親睦会の幹事などを自動的に選任した場合には、その人は36協定(サブロク協定)を締結するために選出されたわけではありませんので、36協定(サブロク協定)は無効となります。この場合は、改めて36協定の締結当事者となることの信任を得る必要があります。

3.3 労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないこと

管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人を指します。

過半数代表者の選出に当たっては、管理監督者に該当する可能性のある人は避けた方がよいでしょう。

 

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4.過半数代表(従業員代表)選出の手順

実際に、過半数代表者(従業員代表)を選出する手順については、以下のようなものが考えられます。

 

step
1

36協定(サブロク協定)を締結するにあたり、過半数代表者(従業員代表)を選出することが必要である旨、事業場内に通知する

 

step
2

期日を指定して、従業員より立候補者を募る(※管理監督者に該当する人はNG!)

 

step
3

①立候補者がいれば、その立候補者でよいかどうか、投票・挙手等で信任を問う
②立候補者がいなければ、同様に期日を指定して、適任者と思う人を推薦してもらう

 

step
4

Step.3 で①立候補または②推薦された人に対して、投票・挙手等で従業員に信任を問う

 

step
5

Step.4 で過半数の信任があれば、決定

 

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5.まとめ

中小企業においては、労働組合がない会社が大半だと思いますので、36協定(サブロク協定)等の締結にあたり、必ず過半数代表(従業員代表)の選出手続きを行う必要があります。

2019年(平成31年)4月1日の法改正により、その過半数代表(従業員代表)の選出手続きが明確化されましたので、法改正前までと同様の手続きを行うなどして36協定(サブロク協定)の締結が無効とならないよう留意しながら、正しい選出手続きを行っていく必要があります。

 

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