随時改定いつから反映?残業代・在宅勤務手当・通勤手当の取扱いを解説!コロナ禍の特例もチェック!

社会保険料は定時決定(算定基礎届)により、原則として年1回見直されます。

しかし、昇給等で月額報酬(賃金)に大きな増減があると、随時に社会保険料を変更する必要があり、これを「随時改定」と言います。

随時改定をしないと保険料の控除・納付に過誤が発生しますが、昇給等があってから3ヵ月後に手続きを行うため、漏れが多い業務と言われています。

また、「固定的賃金の変動」がポイントになりますが、理解不足によりミスが発生します。

年金事務所の調査で「月変漏れ」等の指摘を受けることも多いのではないでしょうか。

今回は、4月に昇給が多いことから、随時改定のポイントについて、分かりやすく解説していきます。

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随時改定の概要

まず、確認の意味で随時改定の概要を説明します。

基本は算定基礎届と同じですが、「固定的賃金の変動」、「3ヵ月とも支払基礎日数が17日以上」、「新しい標準報酬月額がいつから反映されるか」がポイントです。

随時改定とは

被保険者の賃金が、昇(降)給等の固定的賃金の変動に伴って大幅に変わったときは、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定します。

これを随時改定といいます。

随時改定は、次の3つの条件を全て満たす場合に行います。

①昇給又は降給等による固定的賃金の変動

固定的賃金の変動については、「随時改定の判断基準の詳細」で説明しますが、昇給や降給だけでなく、賃金体系の変更や時給から月給への変更、固定残業制の導入等も含まれます。

②変動月からの3ヵ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差

変動月は支給日が基準になります。

例えば、賃金計算期間が1日から月末、支給日が翌月15日であれば、当月の賃金が翌月に支払われるので、4月昇給となった場合、変動月は5月(4月ではない)になります。

また、変動月から3ヵ月間に支給された報酬の平均額とは、5月~7月に支払われた賃金の平均月額となり、この額を標準報酬月額表に当てはめて、現在の標準報酬月額との間に2等級以上の差があるかで判別します。

同様に、遡及して昇給があり昇給差額が支給された場合も、差額が支給された月を変動月とし、差額を差し引いた3ヵ月間の平均月額が該当する等級と従前の等級との間に2等級以上の差があるか判別します。

標準報酬月額等級表の上限又は下限にわたる等級変更の場合は、2等級以上の変更がなくても随時改定の対象となります。

報酬の考え方は、次のように算定基礎届と全く同じです。

随時改定のポイント 残業代は固定的賃金?いつから適用される?

(サプラボ編集部作成)

③3ヵ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上

3ヵ月とも支払基礎日数が17日以上」というのがポイントです。

算定基礎届とは異なり、1ヵ月でも17日未満の月があると随時改定になりません。

支払基礎日数は、各月毎に支給の対象となった日数ですが、給与体系に応じて次のようになります。

なお、有給休暇は出勤したものとして取り扱います。

随時改定のポイント|残業代は固定的賃金?いつから適用される?

(サプラボ編集部作成)

給与計算システムの中には、基本給や手当に変更があると3ヵ月目に「随時改定の可能性あり」等のアラームを表示する機能を備えたものがあります。

これに従って、2等級以上の差が無いか等の要件を確認すれば漏れはないはずですが、固定的賃金の設定に誤りがあり変動を見落とすことが、実務上散見されます。

例えば、残業代を固定的賃金に設定していて、毎月表示されるアラームを無視していたところ、実際に昇給があった時も見落とすといった事例です。

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手続きの時期・提出先等

随時改定に該当する被保険者の報酬月額等を「被保険者報酬月額変更届 厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届」(月額変更届)に記入し、速やかに日本年金機構へ提出します。

随時改定のポイント|残業代は固定的賃金?いつから適用される?

(出典:日本年金機構)

「速やかに」とありますが、該当するかどうかは、最短でも固定的賃金に変動があってから3ヵ月目の給与計算が終わらないと判明しません。

給与計算の際に、3ヵ月前の賃金まで比較することはあまりないため、昇給等があったことを忘れて見落とす原因になります。給与計算時には、チェックリストを作成し、過去3ヵ月分のそれを毎月に確認することをお勧めします。

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新たな標準報酬月額がいつから反映されるか?

変動月から4ヵ月目より新たな標準報酬月額が反映されます。

例えば、賃金計算期間が1日から月末で翌月15日が支給日なら、4月の賃金が昇給となった場合の変動月は5月なので、8月からとなります。

給与計算では、翌月控除なら9月15日支給分より、同月控除なら8月15日支給分より、保険料の控除額を変更する必要があります。

随時改定のポイント|残業代は固定的賃金?いつから適用される?

(サプラボ編集部作成)

なお、月額変更届を提出すると日本年金機構より「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬改定通知書」が郵送され、同書の「改定年月」という欄に適用開始される年月が記載されています。

 

サプラボ編集部

2018/11/15

プライバシーポリシー(個人情報保護方針)

プライバシーポリシー(個人情報保護方針) ディミー株式会社(以下「当社」)は、以下のとおり個人情報保護方針を定め、個人情報保護の仕組みを構築し、 全従業員に個人情報保護の重要性の認識と取組みを徹底させることにより、個人情報の保護を推進いたします。 個人情報の管理 当社は、ユーザーの個人情報を正確かつ最新の状態に保ち、個人情報への不正アクセス・紛失・破損・改ざん・漏洩などを防止するため、セキュリティシステムの維持・管理体制の整備・社員教育の徹底等の必要な措置を講じ、安全対策を実施し個人情報の厳重な管理を行い ...

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次世代人材 経営者

2018/11/26

企業の未来を担う次世代経営者育成の条件とは?

企業の発展のためには、人材育成や教育に注力しなければいけません。そのため多くの企業では、研修などで実施するプログラムの選定に力を入れています。なかでも次世代の経営者を育てていくためのプログラムは重要だといえるでしょう。そのため現在の経営者や人事担当者は、次世代経営者に必要な条件を把握しておく必要があります。 目次 次世代経営者に必要な心構え 次世代経営者が身につけるべき習慣 次世代経営者がそなえるべき役割 まとめ:次世代経営者に必要な条件 条件1. 次世代経営者に必要な心構え 次世代の経営者を育成する時に ...

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リーダー 次世代人材

2018/11/28

企業にとって必要不可欠な次世代リーダーに必要な要素とは?

次世代のリーダーを育てたいと思いながらも、なかなか新しい人材教育が上手くいっていない企業も少なくはありません。リーダーとは先頭に立つポジションだからこそ大きな壁にぶつかる事もありますし、チームをまとめモチベーションを上げていかなければならないので大きな役割を担う存在です。そこで今回はリーダーに必要な要素や、次世代のリーダーの育成についてまとめていきます。 目次 リーダーに必要とされる要素とは? リーダーが次のリーダーを育てる まとめ:次世代のリーダーは待つだけでは出てこない 1. リーダーに必要とされる要 ...

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随時改定の判断基準の詳細

随時改定をより正しく判断するポイントは、固定的賃金の変動と2等級以上変更の意味を正確に理解することです。

ここでは、単純な昇給や降給ではない、特殊なケースをいくつか取り上げます。

固定的賃金の変動とは~残業代の取扱い等

固定的賃金とは、支給額や支給率が決まっているものを言いますが、その変動には次のような場合があります。

  • ①昇給(ベースアップ)、降給(ベースダウン)
  • ②給与体系の変更(日給から月給への変更、選択制DCの導入等)
  • ③日給や時間給の基礎単価(日当、単価)の変更
  • ④請負給、歩合給等の単価、歩合率の変更
  • ⑤住宅手当、役付手当、固定残業手当等の固定的な手当の追加、支給額の変更

「支給額や支給率が決まっているもの」なので、実労働時間に基づき割増賃金として支払われる残業代はどれだけ増減があっても固定的賃金の変動にはなりませんが、固定残業制度の導入や固定残業代の変更は固定的賃金の変動になります。

その他、次のようなケースも随時改定に該当します。

なお、固定的賃金の変動が発生した後、3ヵ月以内に再度固定的賃金が変動した場合も、該当する標準報酬月額に2等級以上の差があれば随時改定になります。

随時改定に該当するもの
基本給(時間給)に変更は無いが、勤務体系(契約時間)が変更になる場合
超過勤務手当の支給単価(支給割合)が変更された場合
超過勤務手当等の非固定的手当が廃止された場合
公共交通機関の運賃改定により、通勤手当が変更された場合
一時帰休(レイオフ)のため、継続して3ヵ月を超えて通常の報酬よりも定額の休業手当等が支払われた場合
一時帰休が解消され、継続して3ヵ月を超えて通常の報酬が支払われるようになった場合

(サプラボ編集部作成)

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2等級以上の等級差であっても随時改定にならないケース

次のように、固定的賃金と標準報酬月額の増減が逆になった場合は、2等級以上の差があっても随時改定にはなりません。

固定残業制度を導入(固定的賃金の増加)したことにより標準報酬月額が減った場合や固定残業制度を廃止(固定的賃金の減少)したことにより標準報酬月額が増えた場合等です。

2等級以上差があっても随時改定に該当しないもの
固定的地銀が上がったが、残業手当等の非固定的賃金が減ったため、変動後の引き続いた3カ月分の報酬の平均額による標準報酬月額が従前より下がり、2等級以上の差が生じた場合
固定的賃金は下がったが、非固定的賃金が増加したため、変動後の引き続いた3カ月分の報酬の平均額による標準報酬月額が従前より上がり、2等級以上差が生じた場合

(サプラボ編集部作成)

その他の特殊な事例

その他によくある特殊な事例を、Q&Aにまとめましたので参考にしてください。

日本年金機構が公表している「標準報酬月額の定時決定及び随時改定事務取扱いに関する事例集」から抜粋したものです。

<標準報酬月額の定時決定及び随時改定事務取扱いに関する事例集>

Q1 同一月に固定的賃金の増額と減額が同時に発生した場合(手当の廃止と創設等)、増額改定と減額改定のどちらの対象となりますか?
A1 同時に複数の固定的賃金の増減が発生した場合、それらの影響によって固定的賃金の総額が増額するのか減額するのかを確認し、増額改定・減額改定いずれの対象となるかを判断します。
例えば、 定額の手当が廃止され 、その手当と同額の手当が新たに創設された場合など、固定的賃金に変更が生じないケースは、随時改定の対象とはなりません。
なお、 変動的な手当の廃止と創設が同時に発生した場合等については 、手当額の増減と報酬額の増減の関連が明確に確認できないため 、3か月の平均報酬月額が増額した場合・減額した場合のどちらも随時改定の対象となります。
Q2 給与計算期間の途中で昇給した場合、どの時点を起算月として随時改定の判断を行いますか?
例:当月末締め翌月末払いの給与で、当月15日以降の給与単価が上昇した場合。
A2 昇給・降給した給与が実績として1か月分確保された月を固定的賃金変動が報酬に反映された月として扱い、 それ以後3か月間に受けた報酬を計算の基礎 として随時改定の判断します。
例示の場合であれば、給与単価が上昇した翌月支払の給与は単価上昇の実績を1か月分確保できていないため、翌々月を3か月の起算点として随時改定の可否を判断します。
Q3 固定的賃金の変動の翌月に給与支払い締め日変更があった場合、随時改定はどのような取扱いとなりますか?
例:9月支給分の給与から固定的賃金変動が反映されたが、10 月支給の給与から、「月末締め翌月15日払い」→「15日締め翌月15日払いに変更」
・9月1日支給の給与(8月1日~ 8月31日分)}
・10月15日支給の給与(9月1日~9月15日分)
・11月15日支給の給与(9月16日~10月15日分
A3 固定的賃金に変動が発生した後の3か月以内に、給与締め日の変更によって、例示のように支払基礎日数が17日を下回る月がある場合には、随時改定の対象にはなりません。(「3か月とも支払基礎日数が17日以上」というのが、随時改定の要件です)なお、例示の場合、Q2とは異なり、9月支給分の給与から固定的賃金変動が報酬に反映(1か月分確保)されているため、11月を起算月として随時改定を行うことはできません。
Q4 歩合給等の非固定的賃金が新設された月に、非固定的賃金が支払われる条件が達成されなかったために初回の支払が0円となり、次月以降は実際に支払いが生じたような場合、起算月の取扱いはどのようになりますか?
A4 新たに非固定的賃金の新設がなされたことによる賃金体系の変更による随時改定は、その非固定的賃金の支払の有無に関係なく、非固定的賃金が新設された月を起算月とし、以後の継続した3か月間のいずれかの月において、当該非固定的賃金の支給実績が生じていれば、随時改定の対象となります。
なお、 非固定的賃金の新設以後の継続した3か月間に受けた報酬のいずれにも当該非固定的賃金の支給実績が生じていなければ、報酬の変動要因とみなすことができないため、随時改定の対象とはなりません。また、その場合には当該非固定的賃金の支給実績が生じた月を起算月とすることにもなりません
Q5 休職によって通常受けられる報酬よりも低額な休職給を受けることとなったが、休職中に固定的賃金の増減があった場合、随時改定の対象となりますか?
A5 随時改定では、固定的賃金の変動が報酬に反映された月を起算月として扱いますが、休職に伴う低額な休職給を受けている間に固定的賃金の増減があった場合、休職給はその固定的賃金の変動を適切に反映しているとは言えないため、休職が終了して通常の給与支払いに戻った月以降3か月の平均報酬月額によって随時改定の可否を判断します。
Q6 産休又は育休取得中の無給期間において昇給等があった場合、起算月はいつになりますか?
A6 産休等の無給期間中に固定的賃金に変動があった場合には、実際に変動後の報酬を受けた月を起算月として改定することになります。
また、昇給等による固定的賃金の変動後に、給与計算期間の途中で休業に入ったこと、又は給与計算期間の途中で復帰したことにより、変動が反映された報酬が支払われているものの、継続した3月間のうちに支払基礎日数17日未満となる月がある場合については、随時改定の対象にはなりません。
なお、本人の希望がある場合は、育児休業等を終了した際の改定(育児休業終了時改定・産前産後休業終了時改定)を行うこともできます。
Q7 自動車通勤者に対してガソリン単価を設定して通勤手当を算定している事業所で、ガソリン単価の見直しが月単位で行われ、その結果、毎月ガソリン単価を変更し通勤手当を支給している場合、固定的賃金の変動に該当しますか?
A7 単価の変動が月ごとに生じる場合でも、固定的賃金の変動として取扱います
Q8 産前・産後休業期間について、基本給等は休業前と同様に支給していますが、通勤手当については支給しないことにしています。この場合は、賃金体系の変更による随時改定の対象となりますか?
A8 産休等により通勤手当が不支給となっている事例において、通勤の実績がないことにより不支給となっている場合には 、手当自体が廃止された訳ではないため 、賃金体系の変更にはあたらず、随時改定の対象にはなりません。

(サプラボ編集部作成)

 

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新型コロナウイルス感染症の影響に伴う随時改定の特例等

再度緊急事態宣言が発令された地域もあることから、新型コロナウイルスに関連する内容として、随時改定の特例とテレワークの取扱いについて簡単に説明します。

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う随時改定

新型コロナウイルス感染症の影響により休業し、2020年(令和2年)4月~7月の間に休業により賃金が著しく下がった方について、一定の条件に該当する場合は、事業主からの届出により、標準報酬月額を随時改定によらず、翌月から改定する特例が行われていましたが、本特例は2021年(令和3年)7月までに発生した急減にまで延長されました。

通常の定時決定や随時改定は過去2年まで遡及可能ですが、本特例は定められた届出期間内に提出しないと改定することができません。

期限は次のとおりです。

  • 2021年(令和3年)1月~3月の急減 届出期限:2021年(令和3年)5月31日まで
  • 2021年(令和3年)4月~7月の急減 届出期限:2021年(令和3年)9月30日まで
    (2020年(令和年)12月までの急減は、2021年(令和3年)3月31日までが届出期限でした)

随時改定のポイント|残業代は固定的賃金?いつから適用される?

(出典:日本年金機構)

在宅勤務・テレワークの実施に伴う在宅勤務手当と通勤手当の取扱い

新型コロナウイルス感染症の影響により、在宅勤務やテレワークを実施することも多いため、特に取り上げますが、これまで説明した随時改定の考え方を当てはめて扱います。

①在宅勤務等の導入に伴い、新たに在宅勤務手当(実費弁償に当たらない)が支払われることになった場合

給与体系の変更に伴う固定的賃金の変動(増加)として、随時改定(増額改定)の対象になります。

②在宅勤務等の導入に伴い、定額で支給されていた通勤手当が、事業所への出勤日数に応じた支給になった場合

通勤手当の減少による固定的賃金の変更として、随時改定(減額改定)の対象となります(逆の場合は、通勤手当の増加による固定的賃金の変更として、増額改定の対象となります)。

③通勤手当の支給がなくなった月に、新たに在宅勤務手当(実費弁償に当たらない)が支給されることになった場合

同時に複数の固定的賃金の増減要因が発生した場合になるので、それらの影響によって固定的賃金の総額が増額するのか減額するのかを確認し、増額改定・減額改定のいずれの対象となるかを判断することになります。

従って、通勤手当の多少により、従業員毎にどちらになるかが異なることがあります。

 

まとめ

定時改定は対象となる被保険者の賃金等を必ず届出るため、届けに漏れがあっても日本年金機構から指摘があります。指摘を受けるのは気持ちのいいものではありませんが、届出の有無を日本年金機構がチェックしてくれているとも言えます。

これに対して、随時改定は会社が該当するか自ら判断して届出るため、漏れがあってもその時点でチェックが入ることはありません。

そして、社内でこの判断ができるのは人事労務だけであることがほとんどなので、人事労務にとってはミスが許されない重要な業務となります。

今回は、随時改定の判断についてかなり踏み込んで説明しましたが、それでもここで取り上げたのは半分程度です。疑義がある場合は、年金事務所等に問い合わせ、確認してください。

なお、日本年金機構は数年に1度、会社の担当者に賃金台帳や出勤簿等を持参させ、社会保険手続に誤りがないかを確認しており、随時改定にミスがあった場合は、そこで指摘を受けることになります。

万が一、ミスがあった場合は本来納めるべき保険料を徴収されることはあっても、追徴金のようなペナルティはありませんので、自ら見つけたときは隠蔽したりせずに直ちに対応しましょう。


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サプラボ編集部

サプラボ編集部★社会保険労務士・人事労務コンサルタント・キャリアコンサルタントを中心とする人事労務情報を得意とするライター集団|ビジネスを加速する中小企業の人事労務情報に関する記事を読者目線で掲載しています。

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